キャプチャ

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テキスト

少女は師匠の導きに従い、北へ向かった。身を刺すような極寒の凍土と氷海 の果てにある砕けた鏡の廊下を進み、 廃墟を彷徨う無数の魔物を討ち、深境の残影の中に雪に埋もれる秘宝を見た。

少女は決して、この地に初めて足を踏み入れたよそ者ではない。北の果ての 子孫が沈黙の夢を紡ぐ前から 霊智をもって星々を旅する者は、まだ暗黒に堕ちていなかった龍の主と再会 の約束をしていた。

それは孤独な虚空の中を揺蕩う記録者であり、原始の文明と関わってはなら なかった過客。 不滅の肉体は遥か遠くの天盤に眠り、心は幾光年先にある荒寥の間を彷徨っ ていた。 滅びる運命にある数多の種族と文明を測り、永久なる暗闇のなか星海が行き つく先を思索していた。 微かな一筋の光が彼女の感覚を刺激し、数万年にも及ぶ瞑想から目覚めさせ た。

その光は銀河の渦状腕の端にある、何の変哲もない小さな世界と、その世界 と共に誕生した原初の龍だった。 「死」さえも消える永い夜においては、龍が目にした太陽も一瞬にして燃え尽 きる流星に過ぎない。

「死」さえも消える永い夜においては、龍が目にした太陽も一瞬にして燃え尽 きる流星に過ぎない。 真務のために星の地表に縛られた意志は、旅の者が見届けてきた無数の文明 よりも煌めいて見えた。 心に浮かび上がる驚きと哀れみを押さえきれず、彼女はこの小さな世界の主 に訓示を授けた——

「私はかつて、紡錘のような光の無い終焉が、星々の輝く糸を引き裂く様子を 見ました。」 「そして、秩序を失った冷たい潮が歌を飲み込み、善も悪も静寂に帰す様子を 見てきました。」 「哀れな慈悲深き王、それでもあなたは己の民を見捨てない、というのですか」 「滅びる運命にあるこの世界を捨てて、私と共に旅に出ませんか」

しかし、傲慢な龍はこう答えた—— 「遥か彼方の世界より到りし友よ、天外の理を説いてくれたこと、感謝する。」 「しかし、汝の目に愚昧と映るものどもは、余にとっては世界そのもの。」 「滅びの潮が襲い来ると言うならば、余の骨をもって世界を守る礎と為そう。」 「余の選んだ道を見届けてはくれぬか。余はいつの日か人を星々へと導こう ぞ。」

しかし過客が舞い戻った時、世界は記憶にあるものと大きく様変わりしていた。 大地の骨は四重の枷を打ち付けられ、柔らかい白色に光っていた空は七繋の 色に固められていた。 龍王の気配は煙のごとく消え去り、翼を持つ者の玉座が三つの月の輝きを継い でいた。

巨龍が別れの言葉も無しに去ったことに戸惑いつつも、この世界の新たな主 を驚かせてはけいけない、と 過客は同胞の掟に背いて、あの殻の中にある世界へと密かに心を落ち着け、 幼い身体に意識を宿し、原始の脊椎動物の間を歩んだ。 そして黄金で築かれた都市の中、日に日に激しくなる議論に耳を傾けた…