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テキスト

5 死んだ人が生きている。彼の骨が熱を出している。 黒い潮は、白い屋根に戦布告をした。彼の故郷は腐ったイチジクのように、綺麗な皮の下にはただれた膿瘍。 顔を失い、血を失い、魂を失った…すべてが遡る光のせいでぼやけてしまった。そして、最後に失ったのは名前だ。 すべてが停滞している。すべては停滞せざるを得ない。 元凶(スケープゴート)は死なねばならない——たとえそれが犯していない罪(身代わりのできない)でも。

6 故郷の船が海面に浮いている——この泣いている木材は緑色の泡を立てている。 遠出をしたことがない人は、生まれてから墓地として定められている場所を離れ、病んだ世界を流離う。 彼の言葉は狂気に満ちている。彼の咆哮は風化した石像のようだ一何も言わず、一言も発さない。 人は大地の泡だ(血は光の泡だ)。

7 漆黒の潮汐は、岩石の上に名もなき水を残した。純粋なる真実の水、死の水——だから名前はない。 この水を飲まない者は、水の中で渇き死ぬ。この水を飲んだ者は、自分の名前を失う。 姿を映し出せない水の中には、この世界のすべての人の顔がある。 その顔は語る。人は自分のより真実に近い(墓碑に記された)名を取り戻す。